ymasashiのブログ

花と謡のことをつれづれ綴っていきます

落語の聖地!

 私事だが、長男が2018年春に西日暮里に転居して、夏に初孫が生まれ、秋に近所の諏訪神社で百日のお祓いを受けた。その後古今亭志ん生の娘の美濃部美津子さんの著作を読んでいたら、志ん生の晩年の自宅は西日暮里で、すぐ隣に十代目金原亭馬生の自宅があったとのこと。番地を調べてみたら長男の住まいから100m以内の距離!しかも志ん生は時々諏訪神社の境内でひとり稽古していたらしい。

 そういえば大河ドラマ「いだてん」でビートたけし演じる志ん生が神社の境内で弟子に稽古をつけるシーンがあった。「いだてん」の中で志ん生についてのストーリーは不自然なところが多く、ビートたけしの落語もへたくそだったから違和感を感じることが多かったが、あの神社のシーンは現地でロケしたんだろうか?近くを走る山手線の音がはっきりと入っていたが、あれはひょっとして意識的に入れたのではないだろうか?興奮して長男に話したけど、うちの息子たちは落語の知識はないからきょとんとしていた。

f:id:ymasashi1004:20211231224812j:plain

f:id:ymasashi1004:20211231224806j:plain

落語のオチ(サゲ)について
 以前からのサゲの分類に疑問があった。1960年ごろに飯島友治が12分類としてまとめたようだが、「地口落ち」「見立て落ち」「しぐさ落ち」などの形式によるものと、「逆さ落ち」「間抜け落ち」「ぶっつけ落ち」などの内容によるものが混在している。
 多くの人が同じような疑問を感じていたようで、オチの分類にこだわるのは半可通のすることだなど言われたこともある。
というような風潮もある。
 先日ネットを検索してみたところ、8つほどのサイトが見つかったのだが、そのいずれもがいまだに旧態依然とした分類を踏襲していることを知って唖然としてしまった。
 桂枝雀が以前サゲの4分類を主張し、著書「落語DE枝雀」の中にまとめているが、改めて読み直してみるとやはり非常に鋭いセンスを感じるし、ほとんどの上方落語と多くの江戸落語のサゲをよくぞ分析したものだと思う。
 しかし、落語の面白さは落ちの分類とは無関係であり、あまり突き詰めて考えることはよそうと思うが、思いつくところをいくつか書いてみた。
1.小咄をふくらませてできた落語には当 然最初から明確なサゲがあるが、あまり出来のよくないサゲは、はなしができ上った後に付けたものに多いのではないか。
代表例は「居残り佐平治」
2.いわゆる「地口落ち」は最も安直でレベルの低いサゲという印象があるが、上方落語では特にわざと「しょうもない」サゲをつけたのではないかと思われる場合がある。小賢しいサゲよりはいっそのことばかばかしく一気に締めくくってしまおうと考えたのではないだろうか。
3.柳家小三治が「景清」に付けたサゲ「これはこれは、初めまして」には演者の高いセンスを感じた。あまりにきれいなサゲなのですっかり人情噺の余韻が残った。
4.「不動坊」のサゲは遊芸稼ぎ人という呼称が無くなってしまった現在としてはマクラで説明するしかない。とてもよくできた面白いはなしだが、はなしに入る前にサゲの説明をするというのは何とも心苦しい。
5.「猫の災難」いかにも上方風のもっちゃりしたサゲも味があるのだけど、東京へ取り入れられてさっぱりとした江戸前のサゲに変わったが、同時にタイトルの意味も変化してしまった。

私の好きな落ちベスト3
 祇園会「てやんでィ、首が落ちらァ!」いかにも江戸っ子らしい啖呵が痛快で、はなしをマスターするのは大変だと思うが、このサゲだけは言ってみたい。
 不精の代参「笠の紐の緩んだン、顎で止めてるのンじゃァ!」まことに不意を突かれたようなあざやかなサゲに驚いた。
 三助の遊び「釜が損じて早じまい」古今亭志ん朝のネタの中でこのはなしがいちばん好きなのはこのサゲのせいかも。